気になる今後の地上波4K

地上波4K放送の計画は、ブルーレイレコーダーの未来に大きな影響を及ぼすでしょう。それまで生き残っていればの話ですが…
現在、地上波の4K放送はまだ始まっていませんが、総務省や関連団体の議論では、地上波の4K化に向けた技術仕様は策定済みです。ですが、具体的なサービス開始時期は未定となっています。
しかし、複数の情報源や業界の動向から、以下のようなスケジュールが予想されています。
- 2028年頃: 一部の地域や特定の放送局で試験放送が開始される可能性。
- 2030年代: 試験放送の結果を踏まえ、全国的に本格的なサービスが普及する見込み。

ブルーレイレコーダー2030年問題

これから始まる地上波4K放送に対応したブルーレイレコーダーの開発は、決して簡単なことではありません。多額の開発資金が必要になる一方で、ストリーミングサービスの普及により、そもそもレコーダーの需要が減少しており、採算が取れない可能性が高いからです。
そのため、地上波4Kに対応した新しいレコーダーは開発されないのではないかと憶測されています。そうなると、既存のブルーレイレコーダーも、地上波4Kが始まる数年前には生産を終了しなければなりません。この問題が、いわゆる「2030年ブルーレイレコーダー問題」です。
BS4K民放5局が撤退
国策で地上波4K放送を始めようとする一方で、BS4K放送より民放5局(BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSテレ東、BSフジ)が撤退する方針の報道が2025年9月8日(日)に発表されました。
報道によると、民放キー局系のBS5局が2027年にBS4K放送から撤退する方針を固めたとのことです。
主な理由は以下の通りです。
- 赤字の継続: 2018年の開局以来、BS4K放送事業は赤字が続いており、5局合計で300億円程度の累積赤字に膨らんでいるとされています。
- 普及の不調: 「次世代のテレビ」として鳴り物入りで始まったものの、高画質などの違いが視聴者に伝わりづらく、4Kテレビ自体の普及も進まなかったことが要因とされています。
- 代替手段への移行: 撤退後、4Kで制作した番組は、TVerなどの動画配信サービスや独自のネット配信を通じて提供することが検討されています。
この撤退が実現した場合、BSの4K放送はNHKと通販専門チャンネルの計3チャンネルのみとなります。
なお、これに先立ち、WOWOWも2025年2月末で「WOWOW 4K」の放送サービスを終了するなど、BS4K放送からの撤退や事業見直しは以前から進められています。
BS/CS 4K放送の歴史
2018年12月:
・NHK BS4K【BS右旋】◀放送開始
・BS朝日 4K【BS右旋】◀放送開始
・BS-TBS 4K【BS右旋】◀放送開始
・BSテレ東 4K【BS右旋】◀放送開始
・BSフジ 4K【BS右旋】◀放送開始
・ショップチャンネル 4K【BS左旋】◀放送開始
・4K QVC【BS左旋】◀放送開始
・ザ・シネマ 4K【BS左旋】◀放送開始
・J SPORTS 1〜4(4K)【CS左旋】◀放送開始
・日本映画+時代劇 4K【CS左旋】◀放送開始
・スターチャンネル 4K【CS左旋】◀放送開始
・スカチャン1・2 4K【CS左旋】◀放送開始
・スカパー!プレミアムサービス(スカチャン1 4K、ショップチャンネル 4K、4K QVC)【CS左旋】◀放送開始
2019年9月:BS日テレ 4K【右旋BS】◀放送開始
2021年
・3月:WOWOW 4K【左旋BS】 ◀放送開始
・4月:ザ・シネマ 4K【左旋BS】◀放送終了
2023年12月
・NHK BSプレミアムがNHK BSプレミアム4Kに再編され24時間放送を開始
2024年3月
・J SPORTS 1〜4 (4K)【左旋CS】◀放送終了
・日本映画+時代劇 4K【左旋CS】◀放送終了
・スターチャンネル 4K【左旋CS】◀放送終了
・スカチャン1・2 4K【左旋CS】◀放送終了
2025年
・2月:WOWOW 4K【左旋BS】◀放送終了
・4月:ショップチャンネル 4K【右旋BS】◀左旋BS放送からお引越し
・4月:4K QVC【右旋BS】放送を開始◀左旋BS放送からお引越し
2027年:BS4K放送はNHKと通販専門チャンネルの計3チャンネルのみとなります
・BS日テレ【BS右旋】◀放送終了 ※予定
・BS朝日【BS右旋】◀放送終了 ※予定
・BS-TBS【BS右旋】◀放送終了 ※予定
・BSテレ東【BS右旋】◀放送終了 ※予定
・BSフジ【BS右旋】◀放送終了 ※予定
録画と編集は別物

テレビの録画機能とブルーレイレコーダーの編集機能を同じように考えている人も多いかもしれません。しかし、両者はまったくの別物です。開発には多大な労力と資金が投じられています。単に録画するだけでなく、複雑な編集機能を実装するのは非常に困難なことです。
4Kチューナー内蔵テレビが発売されてすぐに録画機能が搭載された一方で、ブルーレイレコーダーの4K対応は苦戦を強いられました。当時の開発の困難さは、各メーカーの初号機を見れば明らかです。
・パナソニック: 2018年に4Kシングル録画対応機を発売。初号機としては高い完成度でした。
・シャープ: 2018年に4Kシングル録画対応機を発売。既存の2Kモデルに4Kチューナーを付け足したようなつぎはぎ感があり、完成度は低いものでした。
・ソニー: 2019年に4Kダブル録画対応機を発売。完成度が高く、画質以外ではパナソニックのモデルを上回っていました。
・東芝レグザ: 3年遅れの2021年末に発売。見て消しのチューナー用途ならよいですが、編集機能を持つブルーレイレコーダーとしては完成度が低い機種でした。
地上波4Kとブルーレイレコーダー
地上波4Kに対応したブルーレイレコーダー開発は難しい環境でお先真っ暗な状況です。そのため、地上波4K対応ブルーレイレコーダーが発売されないどころか、地上波4Kが始まる前にブルーレイレコーダーはなくなるのではないかとささやかれています。
1. 開発資金
2018年から始まった4K8K衛星放送に対応した録画機はすでに存在しますが、「高性能チップと4Kチューナーを付ければ完成」という単純な話ではありませんでした。編集機能を実装するには、多額の開発資金と人員が必要で難しかったそうです。
地上波4Kのコーデックには、現行のH.265 (HEVC) よりも高い圧縮効率を持つH.266/VVC (Versatile Video Coding) の採用が検討されています。しかし、この技術に対応するには、さらに多額の予算と人員が必要になります。このため、ブルーレイレコーダーの開発は断念され、テレビと外付けHDDによる録画が主流になる可能性が高いでしょう。
2. 日本のAV事業の縮小
韓国や中国メーカーとの競争により、日本のAV事業は海外だけでなく国内でも低迷しています。このような状況も、新たなレコーダー開発への投資を難しくしています。
3. 高価格
物価高や高性能チップの必要性、そして販売台数の減少により大量生産によるコスト削減ができないため、地上波4K対応レコーダーは高価格になってしまうと予想されます。
4. ストリーミングサービスの普及
録画文化が衰退した最大の原因は、NetflixやAmazon Prime Videoといったストリーミングサービスの普及です。いつでも好きなときに好きな番組を見られるようになったことで、わざわざ録画をする必要性が薄れました。
5. ディスクメディアの衰退
ディスクに保存する人が激減したため、パナソニックやソニーといった高品質なディスクを製造していたメーカーが撤退してしまいました。これにより、ディスクが高価になり、さらに利用者が減るという悪循環に陥っています。
6.市場動向を見るならソニーを見ろ
ソニーは、市場動向にどこよりも迅速に対応することで知られています。ブルーレイレコーダーの開発縮小を他社に数年先駆けて行い、他メーカーもそれに遅れて追随しました。
そんなソニーが2025年9月2日に、「Video & TV SideView」アプリと、ブルーレイレコーダー本体で提供されている「新作ドラマ・アニメガイド」「予約ランキング」のサービスを終了すると発表しました。
この動きは、他メーカーも同様のサービスから撤退する可能性を示唆しているのかもしれません。そしてその先にはブルーレイレコーダー事業そのものの撤退準備なのかもしれません…
7. 総務省の意向
4KでSeeQVaultが録画できないのは、一般的には著作権保護や技術的にできないとされています。
ですが、本質はそこではなくあくまでも推測でエビデンスはありませんが、外付けハードディスクの個体縛りや4KでSeeQVaultが録画できないのは総務省の許可が下りない、もしくは圧力があるからだという見方があります。
録画に対して世界で一番厳しい姿勢なのが日本の総務省です。そのためにメーカーも新しい技術の開発に消極的になってしまう可能性があります。
結論

以上の理由から、地上波4Kに対応したブルーレイレコーダーが開発される可能性は極めて低いと言えます。
もし開発されないとすれば、地上波4K放送が始まる数年前には既存のレコーダーの生産が終了するでしょう。なぜなら、購入後すぐに使えなくなってしまうとクレームにつながるうえ、そもそも需要が見込めないからです。
そうなると、遅くとも2030年頃にはブルーレイレコーダーは市場から姿を消すかもしれません。しかし、録画文化が完全になくなるわけではないでしょう。今後は、テレビに外付けHDDを接続して録画するスタイルのみになる(ナスネの様な形式は残る)と考えられます。
この録画方法には、テレビを買い替えると録画データが見られなくなる「個体縛り」という問題があります。せめてSeeQVaultに対応して、別の機器でも録画データを楽しめるようになってほしいと願うばかりです。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と言いますが、著作権保護に偏重しすぎるあまり、番組が残せない総務省のやり方には異を唱えたいです。
結果が及ぼす弊害
多くの方は、テレビ外付けやナスネなどで仕方ないと折り合いをつけるでしょうが、それでは満足できない残したいという中高年のニーズは根強く、需要が一定数存在します。そのため、数年後には法律的にダークなパソコンソフト※を完成させてしまうでしょう。
現状でも放送波をパソコンでコピーフリーにしている違法行為者が少数存在しますが、今よりも犯罪に手を染めてしまう方が増加することが懸念されます。
※ 地デジ(デジタル放送)のコピーガード(CPRMなど)を解除して複製する行為は、2012年の著作権法改正により、私的利用目的であっても日本の著作権法で違法とされています。




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